並河君は意地悪な笑みを見せた。
「気持ちいい?」
「……っ!」
「ダメ。動かないで」
優しく、だけど、迫るような口調。
「これ以上深く触れたら、どんな音を立てるんだろう。詩織、来てほしいって顔してる」
「そっ、そういう変なこと言うの禁止!」
モデルをできなくなる。暖房ではない熱が全身をめぐり、気持ちが乱れてきた。
「今、詩織のこと抱いてるの。集中させて」
「触れる以外の抱き方ってそのこと!?」
肯定の代わりに、並河君は筆を動かした。
「貪欲に俺をほしがってよ。もっと見つめてよ。鳴いてよ。詩織の好きなところ全て、体も心も絡め取っていくから。俺のことしか考えられないようになればいい」
「……うん」
心臓が壊れそう。普段あんなに優しい並河君が悪魔みたいに意地悪な言葉で攻めてくる。恥ずかしいのに、知らない彼の顔を見て驚いているのに、とてつもなく気持ちいい。
これが、並河君の本性?
“初めて”を彼に捧げられなかったことを、この時深く後悔した。
「詩織の体、ほてってきてるな。ここも、ここも、麗しく色付いてる」
「……うん」
その通りだよ。
並河君の視線が、指先が、丹念に肌をまさぐっているかのよう。絶え間ない快感が全身を熱くし、裸でいることの羞恥心もどんどん薄れていく。


