セカンドパートナー


 並河君は長年芸術に携わってきた。裸のモデルを見るのは初めてではないはず。それなのに、そんな反応をする彼が可愛くて、愛おしかった。

 心も体も、私に夢中になってほしい。私のことで胸をいっぱいにしてほしい。

「もしこれで描けるようにならなかったら、私のこと憎んでいいから!」

 照れ隠しと励ましを半々に、私はワガママな物言いで言った。

「世界中に並河君の絵を必要としてる人がいる。羽留だって、美季の子供だって、みんな並河君の絵が好きなの! 私だって、並河君に絵を続けてほしい。好きなことから逃げてほしくない。だから、描いて…!」
「……ありがとな。少し待ってて」

 別室に行き、並河君は細長い箱を持ってすぐに戻ってきた。

 贈り物用に包装されていたその箱の中にはネックレスが入っていた。小さな石がついている。

 包みを開くと、ネックレスを手に、並河君はためらいがちにこちらに近づいた。

「少しだけ、触れるな」
「……うん」

 ネックレスをつけてもらう。並河君の吐息が首筋にかかり、肌が敏感に反応した。体の芯がひどく熱を持つ。ごまかすため、ネックレスだけを意識しているフリをした。

「見たことない色した石だね。宝石…?」
「こういう時、普通はダイヤとかプレゼントするものなんだろうけど、詩織のこと考えながら選んでたらこれがしっくりきたんだ。これはフローライトの原石。石言葉は『秘密の恋』」
「だから原石にしたんだね」
「色によってフローライトは意味が変わるからな」

 秘密の恋を、二人で大切に守っていこう。そう誓い合うための贈り物だった。

「詩織への想いはどれだけ言葉にしても伝え足りないけど、これがあればつながっていられる。離れてる時もそう。詩織といるこの瞬間を心に刻んで、いつでも鮮明に思い出せるから」