「あまちゃん、言ったよね。俺の感覚は麻痺してるんじゃないかって」
「うん」
「それはあるかもしれない。あの家で生まれて育って、今でも正直納得できないこともたくさんあるけど、親はああいうものだって思ってる」
「うん」
「あまちゃんが嫌な思いしてても、気付かなかった。さっき言われて初めて知った」
そうだと思う。言ったって無駄だと分かりきっていたから言わなかった。お互いに嫌な思いをするだけなら言わない方がいい、そう割り切ろうとしていた。
「勝手に我慢してたのは私だしね……」
「……鈍感なのは昔からで、親にもそういうことで昔何度も怒られた。そういうところ、今まで直そうと考えたことがなかった。友達もこういう俺を受け入れてくれるし、今までこうやって生きてきたから」
「知ってる」
優人だけじゃない。私だって、今さらこの性格を変えることはできない。よほどのことがないと、人は変われない。過去があって今の自分に行き着いたのだから。
「優人には優人の、私には私の今までの人生があってこうなったんだから。それを否定する気はないよ。ただ、傷ついてる時は真っ先に慰めてほしかった……」
「そうだよね。俺、夫として一生懸命やってるつもりだった。奥さんを養うのは男の務め。それが当たり前だと思ってるから、あまちゃんには絶対苦労させないように、そればかり必死に考えてた」
実際優人は、そうしてくれている。生活費を滞りなく稼ぎ、年2回出るボーナスの時は遠慮しているのにおこづかいをくれる。
お酒は飲むけどそんなに飲まないし酒乱でもない。タバコも吸うけど、結婚当時私が嫌がると外で吸ってくれるようになった。私は一切吸わないので、煙も臭いも苦手だ。


