妻であること。母であること。主婦であること。普段の自分を忘れ、恋にときめく女になりたい。既婚女性が何かしらのキッカケでそう思っても、何の不思議もない。
女性は、いくつになっても心の中に少女の自分を持っている。
全ては自己責任だ。自分のための人生。選択と行動に責任を持てるなら、好きに生きていいと思う。それに、不倫と違って、誰の心も傷つけない。もちろん自分も。
セカンドパートナー。
表向きは異性の友人同士。中身はプラトニックな恋を育む二人。名前のない関係。
交わしたいくつもの約束を胸に、私達は秋月さんのアパートに戻った。23時を過ぎていた。
本当はもっと並河君と一緒にいたいけど、あえて戻ることにした。私達が戻るべき場所へ。
アパートの前では秋月さんと優人が立ち尽くしていた。二人とも青い顔をしていた。寒い中、何時間も私達を探し回ったのだろう。
並河君と私の姿に気付くと、二人とも驚きと喜びが混ざった表情で駆け寄ってきた。
「あまちゃん!」
「奏詩……!」
並河君とあんなことがあった後。優人の顔を見たら罪悪感が湧くかと思っていたけど、全くだった。むしろ、心穏やかに優人と対面できた。
鈍い人で本当によかった。並河君と一緒に戻ってきたのに、何とも思ってなさそう。


