セカンドパートナー


「あまちゃん…?」
「詩織……」

 全員の視線が集まるのが分かる。

 お酒を片手に、ちびちび飲みながら私は言った。

「結婚なんて、そんな甘いもんじゃないですよ。慎重に相手選んだはずなのに、しょっちゅう別れたいって思いますから」
「あまちゃん、それ、本当……?」

 優人が深刻な顔をする。

「ウソなんか言ってどうするの? いつもいつも人が苦しんでるの気付かないクセにこういう時だけ深刻な顔してさ。それ、わざとやってんの?」
「あまちゃん、分かったから! 後で聞くから、ここではやめよ?」

 秋月さんや並河君の目を気にして困ったその顔、ホント腹が立つ。

「何が分かるの? 優人は全然分かってないじゃん。何度説明してもさ。私が傷ついてても、全然気付かないよね。お義母さんにひどいこと言われても、店の客にセクハラまがいなこと言われても、お義父さんに嫌味言われても、そばにいるクセに何もしてくれなかった!」

 興奮と共に涙が出てくる。

 並河君や秋月さんの前だというのに、そんなことも気にならない。口が止まらなかった。

「もう嫌だ! こんな苦しい思いするくらいなら結婚なんかしなきゃよかった!」
「……あまちゃん」

 優人は悲しげにうつむき、黙り込む。