優人との結婚後、名字が天使から中川に変わった。
並河と中川。河と川。似通う部分に気付き、密かに胸をときめかせていた。並河君と、下の名前だけでなく名字まで近くなった。
「奏詩と結婚したら、私、並河香織になるんだね。33年間秋月だったから、今さら変わるの変な感じだよ。でも、嬉しい。そうなったら、詩織さん夫婦と似た名字になるもんね」
秋月さんに思考を読まれた気がしてゾッとした。並河君が言った。
「それ、俺も思ってた。いいよな。河と川つながり」
並河君と同じ感性を持つ秋月さん。並河君が秋月さんを褒めていること。全てが苦しい。
「そうだ、優人さんって子供ほしいとは考えてないの?」
「え……?」
突然秋月さんにそんなことを訊かれ、さすがの優人も口ごもった。
先日教室でその話になった時、子供がいないと言った私に謝ってきたのにあえてその話題を出すなんて、秋月さんには悪意があるとしか思えない。
並河君は秋月さんを注意した。
「そういう話はやめろ。酒の席だからって、開放的になりすぎだ」


