セカンドパートナー


「そうですよ。それはそれでいい写真だと思います。俺は好きですよ」

 優人も不器用なりにフォローしている。

 優人に趣味の話をしなくて正解だったと、深く安堵した。空の写真を撮るのが好きだと知っていたら、鈍い優人は『それ、あまちゃんの写真だったりして』と、余計なことを言ったに違いない。


 鍋を始める前から気に触る秋月さんの言動の数々。

 いい酔い方をしていたはずなのに、気分が悪くなってきた。趣味をバカにされたからかもしれない。二人の結婚報告を受けたからかもしれない。

 重たい空気になる中、優人が話題を振った。

「入籍はいつされる予定なんですか?」
「まだ決まってないの。私はすぐにでもと思ってるんだけど、奏詩はそうもいかなくて。仕事柄、奏詩は長期で海外へ出ることが多いから、落ち着ける今のうちに挙式も入籍も済ませておきたいんだけどね」
「そうなんですね。芸術家のお仕事って、どんなことをされるんですか? すいません、凡人なので、そういうの全然想像つかなくて」

 優人と並河君は、互いの仕事の話を始めた。秋月さんも関心ありげに二人の話に相槌を打っていた。

 優人がいて、今だけは助かったかもしれない。私は話さなくてすむ。義親と食事する時もこのくらい気を利かせてくれたらいいのに。

 することがないのでひたすらお酒を飲み、時々食べた。

 一口一口、ゆっくり味わっているつもりなのに、並河君が盛り付けてくれた具材が取り皿からどんどんなくなっていく……。その様子が、彼と共有する時間の終わりを表しているかのようで、ひどく寂しい気持ちになった。

 並河君は、とうとう結婚する。

 私と別れ、気持ちに踏ん切りがついたのだろう。秋月さんと相性が合うのだろう。

 並河君と秋月さんは、優人と話しながら笑っている。これからは夫婦として、そういう時間を共有していく。そしてきっと、二人は寄り添い合って並河君のおばあさんのお墓参りにも行く。

 うらやましい。私が代わりたい。