セカンドパートナー


「へえ! おめでとうございます! 新居、いいところが見つかるといいですね」

 優人だけが、明るくお祝いのセリフを口にした。ケンカしそうになっていた二人を、彼なりになだめようとしているのかもしれない。

「ありがとう、優人さん。ごめんね、変な空気にして。マリッジブルーかなぁ」

 秋月さんは取って付けたようにそう言い、空の写真をしまった。

 純粋に楽しみを共有したくて渡した趣味の写真を、こうして嫌なさらされ方をするなんて思わなかった……。

 表面的には元の雰囲気に戻ったけど、まだ気まずい空気は消えない。

 並河君と私は居心地悪さから逃げるかのように、同時にグラスに口をつけた。

 秋月さんは何事もなかったかのように明るい声で話を続けた。

「詩織さん、よく教室で空に関する字を書いてるよね。雲、とか、雨、とか」
「…ええ、書いてますね」
「だから、奏詩の写真にも心当たりがあるんじゃないかなって思ったの」

 ……やっぱり。写真を持ってきたのはわざとだ。この人、あらゆる手段で私の気持ちをあぶり出そうとしている。

 秋月さんは笑顔のまま言った。

「だって、気になるじゃない? 婚約者が自分に内緒でコソコソ大事にしてる物があったら。お世辞にも綺麗とは言えない、奏詩のセンスに似つかわしくない野暮ったい写真なのに」

 トゲがある。秋月さんは、写真が私からの贈り物だと察し、牽制している。

 奏詩の心から消えて。彼女の目がそう訴えているようだった。

 そんな言われ方をして、並河君も頭にきたらしい。

「香織、いい加減にしろ。それは大事な物なんだよ。俺にとっては」