秋月さんがいなくなったその時、並河君が私を見て、悲しそうな目をした。
「そんな飲み方するって、知らなかった……」
「いつもこんな感じだよ。だってお酒おいしいもん。蟹もおいしいし。あははっ」
並河君、呆れているかな……?
大学の時、サークルの飲み会で、男の先輩が皆に言っていた。
『酒は飲んでも飲まれるな。これは色んな意味で真理なの! 女は特に気をつけろー? 男は可愛く酔ってる女が好きなの。泥酔した女はみっともない。真面目に、百年の恋も冷めるんだよ』
へえ、そうなんだー。男の人ってけっこう厳しいんだね。ためになるなぁ。
そう思いつつ、好きに飲んだ。私はアルコールに強い体質らしく、かなりの量を飲んでも理性や記憶を失ったことがない。平常通りでいられる自信もある。
男のために可愛い女を気取るつもりはないし、お酒くらい好きに飲ませてくれと思った。
でも、今日ばかりは不安になった。これ以上飲むとこ見られたらまずいかも。それこそ、メイクや服に気合いを入れた意味がなくなる。
並河君に嫌われたら、この先生きていけない。
って、何言ってんだか。並河君と会うのはこれが最後。嫌われたっていいじゃないか。その方が諦めがつく。


