ドキッとした。高校の下校中に食べた物ばかりだ。
「食べ過ぎると集中力鈍るからそのくらいがちょうどいいの」
何でもない風にサラッと返す並河君に、優人が尋ねた。
「失礼ですが、並河さん、お仕事は何を?」
「絵を描いてます。主に風景画を」
「芸術家ですか!? すごい! あまちゃん同級生なら知ってたんじゃない? 何で教えてくれなかったの〜?」
人なつっこい様子で突っ込んでくる優人に苦笑し、私は答える。
「同級生だけど、卒業後のことはあまり知らなかったんだよ。今もそういう方面で活躍してるなんて、並河君すごいね」
並河君には変に思われるだろうけど、卒業後の彼の活躍は知らないことにした。秋月さんにこれ以上疑われたくない。
「そっかぁ。ま、そんなもんか。卒業するとよほどのことがない限り会わないしね」
ノンキに言いながら好きな具を取る優人に、小さなため息が出た。
秋月さんは私を見て言った。
「同じ高校に通ってて、ホントに二人は接点なかったの?」
「ないですよ。3年間クラス替えはなかったし、学科ごとに校舎も分かれてましたから。並河君は当時から有名人だったので、存在くらいは知ってましたけど」
「そうなんだ。そういうものなんだね〜」
嫌な予感がした。
にこやかだけど、秋月さんは明らかに並河君と私の関係を探ろうとしている。この場でそれに気付いてないのは優人だけだ。


