飲み屋を経営している義親は、職業柄か、一緒に外へご飯を食べに行くと必ずお酒を注文する。
昼間の飲酒に偏見はなかったけど、昼間のそば屋など、明らかに飲む客が少ない場所に行ってもその調子なので、周囲の客は変な目で私達をじろじろ見てくる。
ただでさえ義家族になじめず居心地が悪いのに、周りの客からは変な団体客の一員と思われるなんて最悪だ。
食べ物の好き嫌いがあることで義母からいい印象を持たれていないのは分かっていたので、お酒だけはできるだけ勧められるがまま飲むようにしていた。食べ物と違い、苦手な味でもすぐに飲み干してしまえばすむから。
そんな時だけ、優人は気を遣い無理しないでと言ってくるけど、無理しないとやってられないんだよと思った。
はじめの頃は嫌々付き合っていた義親との飲酒。そのうち、その効果に驚いた。アルコールが入ると嫌いな相手に囲まれた食事も楽しめる、そう知ったからだ。脳内麻薬でも出ているのかもしれない。
学生の頃は楽しんでお酒を飲んでいたし、無理しているとも思わなかった。
いつかまた、できることなら楽しくお酒を飲める日が来てほしい。唯一楽しく飲める相手だった羽留や羽留の旦那さんとのお酒も、最近では苦手になってきている。
それでも、他に手段がない。今回、秋月さんや並河君の前で明るくいるため、お酒の力をかりたかった。


