セカンドパートナー


 菱田君は子供の元に走っていった。私がまだ並河君と連絡を取り合う仲だと思い込んだまま……。

「カマかけた、か……。本当にそうだったらよかったな」

 誰に言うでもなく、つぶやいた。



 翌週の木曜日。午後5時、優人と共に秋月さんのアパートに向かった。

 並河君が北海道から蟹を取り寄せてくれたらしく、蟹鍋をやることに決まった。材料は秋月さんと並河君で用意するから手ぶらで来ていいと、秋月さんには言われた。

 それでもやっぱり人の家に行くのに手ぶらは失礼なので、お酒を飲めるかどうか尋ねた。二人とも飲めるとのことだったので、優人と一緒に適当なお酒をいくつか選び持って行くことにした。

 秋月さんに気を遣ったのはもちろんだが、お酒は半分自分のためだった。

 必ず緊張すると分かっているメンバーでの鍋。別れた並河君との対面。鍋をするなら下準備の時間を含めて最低2時間は秋月さんの部屋に居なければならない。シラフで乗り切る自信はなかった。

 優人もお酒は好きだけど飲まなくても平気と言い、車を出してくれた。秋月さんのアパートは歩いて行けるほど近いけど、時間が時間だし、この際甘えてしまおうと思う。

 あまりよくないことだと思うし羽留の旦那さんにも体を壊すからほどほどにねと心配されたけど、苦手な相手との食事ではお酒を飲まないと間を持てない。

 こうなったのも結婚してから。