セカンドパートナー


「パパ、こっちー!」

 男の子は男性のことを力一杯呼んだ。冬なのに虫を見つけたと言ってはしゃいでいる。本当に楽しそうだ。

 私はああやって感情をあらわにする子供ではなかったけど、中身はああいう感じだったのかもしれない。主張しなかっただけで、親とああやって公園で遊んだりたかった。

 あまりに見つめすぎた。父親と思われる男性も私の視線に気付きこっちを見る。あわてて目をそらした。

 不審者と思われてませんように!

 仕事中、出くわした住人に不信感を与えないよう、服装や髪型にはけっこう気を遣っている。それでも、住宅街などでチラシ配布をしていると不審者を見るような目で見られることがある。昔に比べ、住民の知らない人への警戒心は強まっている。

 男性は男の子をブランコで待たせ、こっちへやって来た。

 ウソだよね? ただ見てただけで、誘拐とか物騒なことは考えてないですから! 仕事の休憩中なんです。通報はしないで下さい!

 不安な気持ちでかたまっていると、男性は私の前でぴたりと立ち止まり、こちらの様子をうかがうように声をかけてきた。

「天使(てんし)ちゃん……?」
「……!?」

 旧姓を知ってる!?

 驚き、顔を上げた。

 男性の顔を見て、さらに驚いた。