私達が通った高校には、昔からこういうジンクスがあった。
《卒業式で好きな人と校章を交換すると、想いが叶う》
在学中、私はそれを知らなかった。誰かがそういう話をしていても鈍さのあまり聞き流していたのかもしれない。
「友達記念に、校章、交換しよ」
そう言われ、並河君と交換した。
学科によって色分けされた校章。並河君は緑、私は青い校章を手放した。
ジンクスを知ったのは、卒業して半年後。
お世話になった先生に会いたいと言う羽留に誘われ、母校の音楽校舎を訪ねた。その時会った音楽科の女性教師が言った。
「数年前ここの音楽科にいた子がもうすぐ結婚するんですって。卒業式に普通科の男子生徒と校章を交換していたみたい。ジンクスって本当かもしれないわね」
「そういうのいいなぁ。ロマンチック〜」
感心する羽留に、後で訊いた。
「ジンクスって何のこと?」
「詩織、知らなかった!?」
女子は皆当たり前のように知っていたことらしい。
「そっかぁ、だったら教えてあげればよかった……。そしたら並河君と交換できるよう協力したのに」
「ううん、別にいいよ」


