セカンドパートナー


 また、同じ気持ちになれた。そして、恋する気持ちをさらけだせる。そのことが、ただただ幸せだと思った。

 この幸せを、この先何回も感じたい。
 でも、それは叶わない。

 もうすぐこの電話は終わってしまう。そんな気配を感じて気持ちが翳(かげ)る。

『あの時、ホントは詩織にキスしたかった』
「な、急に何!?」

 そんなこと、並河君も言うんだ。ただただ、驚く。

『嫌われたくなくてカッコつけてたけど、そういうことだから。はい』
「ウソ! あの頃全然そんな風に見えなかったよっ」
『男は無意識のうちにそういう演技ができるの。好きな子の前では特に、隠し上手になる』
「そっ、そんなの考えたことないよ。並河君、変っ」
『詩織はホント可愛いな。そういうとこも昔と全然変わってない』
「かっ、可愛くないっ」

 ほめてるのか、からかってるのか。どっちとも取れる口調。

 久しぶりに電話で話す並河君は、以前に比べてちょっと意地悪になった気がする。

 でも、楽しいからいいや。

 これも、両想いだからできる会話なのかもしれない。

「私は、そういうことがなくても、話したりMDプレイヤーのイヤホン分け合って音楽聴くだけで満足だったよ。羽留のピアノ聴いたり、バスケ部が休みの放課後体育館に行ってシュートして遊んだりもしたよね」