セカンドパートナー


 当時の携帯電話には音楽を聴いたりダウンロードする機能はなく、外で音楽を聴く時は主にMDプレイヤーやCDプレイヤーが使われていた。現在でいうiPodのように、持ち運びができる音楽再生機。

 並河君はMDプレイヤーを持ち歩いていたので、放課後にはそれのイヤホンを片方ずつつけて一緒に音楽を聴いた。

 冬は中華まん、夏はアイスを手にしながら。


 思い出したら、また、食べたくなった。とても食欲なんてないし、今は冬なのに。

「帰り道によく食べてたアイス、食べたくなってきた。並河君はバニラばかり食べてたよね」

 並河君は驚いたように息をのむ。

『同じこと思い出してた! 詩織と一緒に食べたいな』
「私達、あのコンビニの店員さんにすっかり顔覚えられてたよね。急いでる時でも、並河君アイス食べたい中華まん食べたいって強引に寄ってさ」
『一緒にいる時間増やしたかったから』

 知らなかった。そういう行動にも好意が隠れていたんだね。

「全然気付かなかった。ホントにお腹すいてるのかと思ってたよ」
『知ってる。そういうところも詩織らしくて好きだなって思った』

 胸が熱くなる。

 今までは分からないことばかりだったけど、この時は鮮明に並河君の心が見えた。