「気持ち聞いてくれてありがとう。並河君」
『こっちも言えてよかった。ありがとな。これからも、詩織の幸せ願ってる』
「並河君も、絵、がんばってね」
『詩織も、空の写真撮る趣味、続けてな』
「うん。続ける。スマホって画質よくてつい撮っちゃうんだよね」
バイバイ。そう告げたら本当に終わり。
切るタイミングがなかなか見つけられない。
この時間に終わりが来なければいいのに。
高校の頃、並河君との帰り道、何度もそう思った。彼は、週末おばあさんのお屋敷に泊まる日以外は反対方向の電車に乗らなければならなかった。
もっと話していたい。
高2の夏だった。汗を流して帰った午後3時、
「ちょっと待ってて」
私を木陰で待たせると、並河君は途中のコンビニまで走って行きすぐに戻ってきた。彼の手には棒アイスが二本。チョコ味とバニラ味が一本ずつ。
「これ食べよ。詩織どっちがいい?」
「どっちも好きだけどチョコがいいな。あ、お金っ……」
「いいよ。昨日教科書貸してくれたお礼」
「ありがとう」
照れながらチョコアイスを受け取り、通学路から少しはずれた公園のベンチに並んで座った。ちょうど日陰の涼しい場所があって嬉しくなる。
並河君とは違う味のアイスを食べた。


