喜んで子供を望むような女性と縁を結ぶ可能性もあったはずなのに、私は自分の都合だけで優人のあらゆる幸せの可能性を奪ってしまった。
経験上、子供がいることが女の幸せだとはどうしても思えないけど、優人は違う。昔は義母の高圧的な性格に不満もあっただろうけど、義父には気にかけられているし、なんだかんだで可愛がられているのが分かる。
結婚する前から現在まで、優人は両親から毎年誕生日プレゼントに服などをもらっていて、それをよく着ている。優人の好みやセンスをよく理解した贈り物。
皆が皆、私の両親のように不幸な結婚生活を送っているわけではない。平穏そうに見える家庭にも何かしらひとつふたつ問題はある。普通のことだ。頭では分かっている。虐待された経験があっても自分の子を大切にしている親もたくさんいるだろう。
小さな子供を連れている夫婦を見ると、ほんわかした気持ちになる。通りすがりの子供を見ると純粋に可愛いなと思う。
美季夫婦を見ていてもそう。大変そうだけど楽しそうだなと思う。
だけど、やっぱり私には無理。
他人の子供は自分で育てなくていいから、責任を取らなくていいから、無責任に可愛いと言えるだけ。
どうしても越えられない。子供は望めない。
産みたくない理由はたくさんあるけど、最後に至る答えはひとつ。『自分のせい』。
私は自分が嫌いだーー。
憧れと理想論だけで子供を作ったら確実に不幸な家庭を作ってしまう。未熟で、愛に飢え、弱くてずるく、暴力的なまでに冷たい自分を、これまで何度も、嫌というほど、感じてきたから。
私のような人間に育てられる子供は歪んでしまう。心の寂しい子供になってしまう。人を傷つけても平気な人間になってしまう。そんなのはいけない。


