求めていた言葉。好きな人の愛情。
こんなにも心が満たされるのは生まれて初めてだった。
『優人さんから奪いたい。何度もそう思った』
並河君に連れ去られるなら、かまわない……。
『でも、もう、昔と違う。詩織も、俺も、変わった。今の詩織の幸せを壊したくない』
「うん……」
分かってた。
並河君と恋愛するなんて、もはや夢物語。
並河君には彼女がいる。結婚も視野に入れているかもしれない。そうでなくても、旦那がいる身で他の男性と恋に落ちるなど、決して許されることではない。
独身の頃と違う。今もし並河君と関係を持ってそれが優人に知られたら、義家族や親戚をはじめ、疎遠になった実家の親まで巻き込む事態になる。
結婚生活に莫大な不満があるとはいえ、最終的に優人を選んで結婚したのは私。責任がある。
子供をほしがっていた優人にその選択をさせてあげられなかった。私と結婚しなければ、優人は別の誰かの手を取り、子供のいる結婚生活を送っていたかもしれない。
優人とテレビを見ていると、しょっちゅう罪悪感に襲われる。子供の映像が映るから。オムツのCMで可愛い赤ちゃんが映るから。ドラマの子役が映るから。
本当はほしいんだろうな。子供。
そう思い、つらくなる。
それでも優人は子供を作ろうとは決して言わない。多大な苦痛を強いているのが分かる。


