セカンドパートナー


 だからか、美季が彼氏と会うのに熱中して私との約束をドタキャンする気持ちが理解できず、たびたび彼女と衝突した。

「いつもいつもドタキャンばかりして、こっちの身にもなってよ! 前々からバイトの予定とか調整して時間作ってるのに!」
「そこまで言わなくてもいいじゃん! 大学でも会えるんだし!」
「そうだけど、だったら最初から約束なんてしなきゃいいと思う」
「遊びたかったから約束したの! でも、好きな人できたら会いたくなるの! 詩織だって彼氏いるのに、何で分かってくれないの?」
「彼氏と友達は別だよ」

 そんなケンカをしても、翌日大学で顔を合わせると仲直りしてしまう。美季が、お詫びのシュークリームなりケーキなりを買って寮の部屋に訪ねてくることもあった。

 お互い根には持たなかったけど、恋愛に熱くなれない私に、美季はしょっちゅう首を傾げていた。

「冷めてるよね、詩織って」
「そうかな?」
「友達は友達で大事だけど、恋愛って別のベクトルだよ。うまく言えないけど」
「そういうもん…?」


 そのうち、結論が出た。並河君と付き合えないなら、誰と付き合っても同じなんだと。

 彼氏に好かれている、求められる、そのこと自体は嬉しかった。大切にし、優しい言葉をくれ、私だけを褒めてくれる。変に気を遣わなくていい分、女友達といるより楽だとも思った。

 ところが、付き合う相手が変わるたびいい女になるどころか、日に日に中身が空っぽになっている、そんな気がする。