セカンドパートナー


 友達と違い、恋人はこぞって作るようなものではないとそれまでは思っていたけど、恋愛体質の美季といつも一緒にいて、感化されたのかもしれない。好きじゃなくてもとりあえず付き合うという形もありかな、と、思うようになった。

 それに加え、彼女が放った一言に突き動かされた。

「恋しないなんてもったいないよ! 詩織可愛いんだからさ、モテるうちに相手選んどいた方がいいよ! 女はたくさん恋をしてどんどんいい女になるの。って、これ、バイト先の社員さんの格言なんだけどね〜。あはは」

 いい女になれる。その言葉が、やけに大きく胸に響いた。

 美季はバイト先の人ともしょっちゅう遊ぶくらい仲が良い。そこつながりで入ってくるそういう話はためになったし、新しいものを取り入れ変化したいと願う私に刺激をくれた。

 彼氏がいない時、生理的に受け付けない相手以外の告白は全部受け入れ、付き合った。そのうち相手を好きになれるかと思って。

 しかし、何度か彼氏が変わる頃になっても、恋がなんなのか、正直よく分からなかった。

 どの男の子と話しても並河君と一緒にいた時のような緊張や安らぎはないし、周りの女の子達が言うほど喜びや楽しさもない。「ときめく」という感覚もよく分からない。