どこかぎこちない空気を和ませるため、
「雪、きれいだね」
並河君に話を振ったけど、
「雪って、こんなに寂しいものだったっけ……。子供の時は純粋に楽しみだったんだけどな、雪見るの」
物憂げなことを言い、並河君はうつむいた。
結果的に、羽留のアドバイスは正しかった。
私は大のバカだ……。後悔するって予告されてたのに、自らその道を選ぶなんて。
並河君は、その後すぐ田中さんと付き合った。
並河君から直接マフィンのお礼を言いに行ったことで、二人は急激に仲良くなったらしい。私が取り持つまでもなかった。
友達の恋は応援する。そう言い切ったはずなのに、田中さんと付き合った当初はあからさまに並河君を避けてしまった。
そのうち普通に話せるようになったけど、それは並河君が田中さんと別れた後のことだった。
二人は1ヶ月もしないうちに別れた。だけど、その間に二人はけっこう深い仲になったのではと、学年中の皆がウワサしていた。
二人が付き合った頃、学校はちょうど冬休みになる前だったし、クリスマスや正月など、恋人同士のために存在するようなイベントも重なっていた。
皆のウワサをうのみにしたわけじゃないけど、ウワサも真実かもしれないと思った。田中さんと付き合ったことで、並河君の雰囲気はガラリと変わった。見た目や話し方は前と同じなのに。


