「今日、ちょっと並河君と会う時間があって……。お互い授業中だったんだけど」
保健室でのことを、かいつまんで話した。並河君の他校の友達と付き合ってることにするという、ウソの一件も。
「ホントに!? 並河君、体育の途中に詩織を追いかけてきたってこと?」
「多分……。そうかな? 分からないけど」
羽留は前のめりになって話を聞いている。
「私も羽留と一緒。並河君のこと、友達って思ってる」
「そうなの?」
羽留は納得いかないという顔をしながらも、私の話にうなずいている。
「並河君モテるから、そういうウソに付き合ってくれるのはホント助かるよ。女子とトラブルになるのこわいし」
「そうだよね……。幼なじみにもモテる子いたけど、それでやっかまれて気の強い女子とかにいじめられてたよ。かわいそうだった。あたしはそういう経験ないけど、詩織の気持ちも分かるよ。つらかったよね」
羽留は、私の中学時代の話を引かずに聞いてくれた。でも、並河君考案のウソには否定的だった。
「でも、だからってそういうウソつかせるのって、なんていうか……。たしかに、そういうウソを通せば中学の時みたいな嫌がらせは防げるかもしれないけど、それって、この先詩織が他の男子と仲良くなった時とかに、誰とも付き合えなくなるってことじゃない?」
言われてみればそうだ!
「そうだね。羽留に指摘されるまで気付かなかった」
「……並河君、友達のクセに詩織のこと変に独占しすぎじゃないかな」


