セカンドパートナー


「ごめんね、詩織。金曜日のこと、あたしよけいなことしたよね……。並河君誘ったら詩織喜ぶかなって思ったんだけど、おせっかいだった……」
「ううん! 羽留は悪くない」
「でも……」
「ごめんね……。私のために難しい曲を練習してくれたのに、そういうことにありがとうも言えなくて、勝手にイライラして、ひどいこと言った……。本当にごめんなさい」
「詩織……」

 羽留は悪くない。悪いのは私だ。

 羽留を傷つけてしまったことの後悔と、こうして話せていることへの安心感で、涙が出てきた。止まらない。

「ごめんね、羽留……」
「泣き上戸だね、詩織は。初めて会った時も泣いてた」
「ごめんね……」
「分かったよ。あたしももう気にしないから、忘れて仲直りしよ。詩織と気まずいままは嫌だよ。またピアノ聴きに来てほしい」

 さっぱり言い、羽留は優しく私の肩を抱いた。そのぬくもりに安心した。つられたのか、羽留も涙ぐんでいる。


 羽留と友達でよかった。仲直りできて本当によかった。


 涙がおさまる頃、羽留は言った。

「前も言ったけど、並河君のことは昔から知ってたの。だから、ああやって話せるようになって、並河君もピアノやってたって知って、嬉しかった。でもそれは、男子としてじゃなくて、なんていうか、友達としての感情だから。今度こそ信じてね」
「大丈夫だよ。分かった」

 もう、大丈夫。羽留にヤキモチは妬かない。