セカンドパートナー


 中学の頃、美季とたくさんケンカして、仲直りした。それは、美季がガンガン本音をぶつけて迫ってくるタイプだったから。羽留とは違う。

 羽留も羽留で明るくて話しやすいけど、美季とは違って言葉に気を使う子だ。人が傷つくような言い回しは絶対しないし、遠慮なく他人に近付いていくタイプでもない。

 そんなところが大好きだ。

 きっかけは羽留のピアノだったけど、付き合ううちに、彼女の性格や外見も好きになっていった。校則を破らない範囲でオシャレを楽しんでいるところ、ピアノをがんばる真面目なところ、優しいところ……。

 失くしたくない。ずっとそばにいたい。羽留といると、いつも楽しかった。

 涙が出そう……。

 音楽科の校舎がある方に顔を向けたまま自分の席から動けずにいると、

「詩織!」
「…羽留」

 羽留が私のクラスに訪ねてきた。

 私の気持ちを映したみたいに、羽留も元気のない顔をしている……。


 私達はなんとなく中庭のベンチに来た。冬だし寒いけど、人のいないところで話したかった。

「土日、電話できなくてごめんね。ピアノの練習しなきゃならなくて」
「ううん、私も電話できなかったし……」

 羽留も電話したいって思ってくれたのかな……。

「それに、会って話したかったから」

 羽留はそう言い、まっすぐ私を見た。絶交されると思い、こわくなる。