セカンドパートナー


「あ、続きやるから座って」
「え、もういいよ。消毒だけで」
「ヤケドなめちゃダメ」

 さっきと同じように、丸椅子を並べ向き合って座る。互いの膝が軽くかすって、またドキドキが戻ってくる。

 並河君は棚からガーゼを取り出し、消毒を終えた私の肌にゆっくり巻きつけた。彼の手のあたたかさが、ヒリヒリしていた心まで届くみたい。

 緊張をごまかすべく、何でもいいから話したかった。

「並河君の友達と付き合ってるフリ、いいと思う。私とそういう関係じゃないって分かれば、並河君も彼女作りやすいもんね。モテるもん、並河君」

 わ、さすがにこれは深入りしすぎかな。並河君との距離が近すぎて、頭にないことまで勝手に口から出てしまう。

「きっと、そのうち可愛い彼女作っちゃうんだろうなぁ……」
「……」

 並河君も、さすがに戸惑った顔でこっちを見ている。反応に困ってるんだ。今の言葉、取り消したい…!

「俺に彼女できたら、詩織、寂しい?」
「……え」

 尋ねてくる並河君は伏し目で、そこから感情は読み取れなかった。私の手に包帯を巻き終わり、テープで止めてくれている。優しい手つきに、やっぱり気持ちが波打つ。

「寂しいかもしれないけど、応援するよ。並河君が好きになった人なら」
「そっか」
「じゃあ、逆に質問。私に彼氏できたら、並河君は寂しい?」