「お母さん仕事は?」


「休んできたわよ。
だってハルナが事故に合ったんですもの。
心配で仕事どころじゃないわ。

お父さんも来たがっていたけど、大事な会議だからって」


「そうなんだ…。
わざわざありがとうね」




ほっと息を吐いてハッとする。




「お母さん、鞄は?」


「鞄?」


「通学鞄。どこにある?」


「これでしょ?
点字ブロックの上に置いてあったそうよ」





そうだ。

中身は大事なものだから、
一旦点字ブロックの上に置いたんだ。

もしあたしと一緒に鞄まで事故に合ってしまったら、
カイくんへのプレゼントが台無しになってしまうかもしれない。

仔猫もそうだけど、プレゼントも守れて良かった。





「……ハルナ。落ち着いて聞いてね」


「お母さん……?」





お母さんは顔を伏せた。





「カイくんね…倒れたのよ」