「カイくーん。平気?」




入ってきたハルナさんは、
手に駅近くのショッピングモールの袋をぶら下げていた。





「うん…。わざわざありがとうございます」


「気にしないで!

本当はカネっちも来たがっていたんだけど、
部活があるからって」


「野球部だもんね」


「エースがいなくちゃ皆が大変だって」


「万年補欠の間違いじゃない?」


「アハハッ、カイくん地味に酷いね!」





太陽のようにパッと笑ったハルナさんは、

「そうだ」と鞄の中を漁り始めた。




「これあげる!」


「…これは?」


「今日の調理実習で作ったカップケーキ。
食べれなかったでしょ?」


「ありがとうございます!」




僕は透明な袋に真っ赤なリボンでで器用にラッピングされたカップケーキを取り出す。




「食べられる?また今度でも良いよ?」


「いえ。
ハルナさんが折角作ってきてくれたものです。

食べないと勿体ないです。

いただきます」






僕はカップケーキを一口食べた。