「あたしの親さっ、高校生から付き合い始めて結婚したんだって」



放課後、ファミレスで中学の頃の友達4人で久しぶりに集まって、たわいない会話をしていると、いきなり凪沙がそんな話を始めた。




「昨日さ、結婚記念日だったから久しぶりに折り紙でチューリップ折って、親に渡したら、いきなりノロケ出して、そん時に言ってた」


つまんなそうに話す凪沙の隣で、凪沙が折り紙でチューリップを折ってる所を想像したのか、お腹を抑えながら笑っているのは高橋 美穂。


元カレと同じ高校に行きたくて猛勉強するが、浮気が判明。

高校入学して2週間で別れて、今は彼氏募集。




「私達でいうと今彼と結婚かー、考えられないよねー」



凪沙の話に相づちをつうかのように呟いたのは佐々木 凜華。


超エリート学校に推薦入学。
入学して直ぐに一つ上の先輩から告白され付き合っている。


凜華いわく、『男は顔じゃない、大切なのは中身(金) なのっ』だそうだ。




時間が進むにつれ、凪沙の何気ない一言から話はどんどん膨らんでいき、

凪沙と逆に周りのテンションテンションも上がっていった。



すると、ふと気がついた様に美穂が私を見つめてきた


「そういえば、千夏は?小鳥遊と上手くいってるの?」


小鳥遊、私の彼氏の名前である。

小鳥遊 颯斗、中学1年生の時に告白され付き合い始め、今でも付き合っている。来月で丁度付き合って4念目になる。


いきなり颯斗の名前を出された千夏は顔を赤くさせながら美穂の質問に少し小さな声で答えた


「うん、今まで通りだよっ」


照れながら答える千夏を見て、美穂と凜華がニヤニヤと口元を緩ませている。


「じゃ、無事に4念目迎えられそうなんだ?良かったじゃん。」


凪沙が携帯をテーブルに置いて私に笑いかけてくれる。



清水 凪沙、私が心配と言ってんざわざ私に高校を合わせてくれた、この中で唯一の同じ高校の親友である。


優しく話しかけてくれた凪沙に、美穂は微笑みながら返事をした。

「へぇー。ラブラブなんだ〜?」

凜華が気持ち悪いほどニヤつきながら私の顔を覗いてきた。




正直、私と颯斗はラブラブと言う様な関係では無い、


例えるならば、信頼しあえる家族と言った関係だと思う。


それは今も昔も変わらないし、それが嫌とも思わない。


一途に思ってくれる颯斗が大好きだから、私も颯斗の事を信頼出来るし、心配なんてしたことが無い。


正直付き合い始めた頃は、颯斗がすごくモテてた事もあって、いっつもヤキモチばかり焼いてたりもしたけどねっ、


プルルルルッ、プルルルルッ、


急になり始めたのは私の携帯の着信音だった。

鞄から取り出して画面を見てみると【小鳥遊 颯斗】と表示されてあった




「ごめんっ、ちょっと出てくるね?」


両手を合わせた後画面を皆に向け席を立ち、お店の外えと急いだ


途中、美穂の茶化す声が聞こえたけれど、聞こえないふりをして止まらずに外へ向かった。




画面には【1件の着信】という印があり、着信の切れた後だった。


直ぐにかけ直し、携帯を耳に当てた。


3秒くらいたってからコールがなり始める。


11月なのに外はすごく寒くて、手足がすごく冷える。


2回目のコールがなり終わった後、電話の向こうで小さく物音がして直ぐに颯斗の声が聞こえた。


『もしもしっ』


「もしもし、ごめんね。直ぐに出れなくて、今凪沙達とファミレス来てて。どうかしたの?」

少し申し訳なさそうに言った後、要件をきいてみた。



本当は何の話かなんてわかってるのに




『いや、俺こそいきなり掛けて悪いな、清水達ってことは、他にも居るのか?』


颯斗が少し心配そうに訪ねてきた。

私が凪沙以外の友達と遊ぶ事がほとんどないから、きっと男の人じゃないかと心配しているかもしれない。


「うん、美穂と凜華も居るよ。ふふ、心配したの?」


内心、騙してやろうと思ったけれど、なんだか颯斗の声を聞いてると可哀想に思えてきたので辞めておいた、

『そりゃするだろ?w高橋と佐々木って事は、中学の頃のメンバーか?』


やっぱり。心配してくれた事を、内心喜びながら続けて相づちをうつ


「うん、皆元気だったよ。」



そっか。と言葉を返され、少し沈黙した後。『なぁ』と言う颯斗の声が聞こえ、その言葉に少し身構えた。


『来月の15日って空いてるか?』

予想していた事を言われ、少しほっとする。


「もちろん。」


笑顔で応えると、良かっった。と颯斗も優しく言ってくれた。


きっとこの時の私を周りから見たら、お店の前で不自然に笑いながら電話をしている変人と思われていると思う。



『じゃ、このまま予定入れるなよ?俺が予約したからな?』


少し間が開いてから念を押すように颯斗が言ってきた。

くすっと笑いながら返事をすると、颯斗は心配はしてないと偉そうに返してきた。





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あれからどれくらい電話をしたのだろうか?


結構な間くだらない話をし続けていた。




「帰りはきおつけて帰れよ?」


会話の途中、もうそろそろ凪咲達の所へ戻ると伝えると、颯斗がそう言ってくれた。

「ありがとう。じゃあ、ばいばい」


...。


「おぅ、また明日学校でなっ」


通話を着るに着れないで居ると、颯斗からきるよ。と言うように最後に一言言ってくれた。

慌てて返事をしたけれど、スマホからはプーっプーっプーっと既に通話の切れた音がしていた。



残りの充電が12%になったスマホを鞄にしまいながら、ふと上を見上げてみた。




雲の一つもない澄んだ夜空には、沢山の星が浮かんでいた。



その時の私は、澄み切った空に段々と雲が掛かってきていることには、まだ気が付がついていなかった。