「お供がいたら、外に出てもいいの?」
「ええ、許すわ。」
腕を組んで、「出来るわけ無いでしょ」と言わんばかりに答える玄武に、笑顔を持って返す。
「だったら、玄武が人を形取ればいいじゃない。」
わざとらしく、おしとやかに、ふふふと笑って玄武を見返す。
これで玄武が、どんな顔をするか見物だ。心の中で、ペロッと舌を出す。
「はぁ?」
玄武は眉間にたくさんの皺が寄り、切れ長の目がいっそう細くなる。
「だって、女房をお供に付けて、危険にさらすなんて可哀想じゃない。」
それに女房たちが、邸の外に徒歩で出る事を許してくれるとは、とても思えない。
特に柊杞は、完璧に鬼へと変わってしまうだろう。それは、考えただけでも恐ろしい。
「ちょっと!!だからって、どうして私なのよっ!?」
玄武がアタシの前に立ち、「太裳が居るでしょっ!!」と、太裳をビシッと指差す。
玄武はそう言うけれど……
「とても、太裳が言う事を聞いてくれる、とは思えないんですもの。」
太裳の方に目をやると、予想通りとても不機嫌な顔をしていた。
玄武は一瞬、「確かに」と言う顔をしたが、直ぐに首を振る。
「そんなの私も同よ!!人になんか、ならないわよっ!!」
「…そんなに、ワタクシのお供をするのが嫌なの?」
袖を口元に持って行き、上目遣いで玄武を見る。
「当然じゃない。」
そう断言されると、されたでそれは悲しい。
ふぅ、と一息つくと立ち上がり、太裳の前まで行く。
無表情でアタシを見上げてくる太裳に、玄武からは見えないように片目を瞑り、口角を上げる。
太裳は何度か瞬きをすると、ようやく笑みを浮かべる。


