読んでいた書物を、簡単に片付けた頃に、宵が遣ってきた。
「急にごめんなさい。でも、どうしても伝えないといけないと思って。」
「そんな、気にしないでっ。ワタクシが無理を言って、頼んだのだもの…宵が申し訳なさそうにする必要はないわ!!」
部屋に入ってくるなり、頭をさげる宵に、駆け寄る。
勿論、宵の護衛の任に就いている天狗達は、「宵様に頭を下げさせるなど、言語道断!!」とばかりに睨んでくる。
宵に席を勧め、自分も宵の前に腰を下ろす。
「…それで、どうしても伝えないといけない事って?」
「うん、聖凪に頼まれてから、夜には都に遣ってきたの。都に入ってからは、本当に空気が重くなってたわ。」
とりあえず、前置きをする宵に頷く。
「そおしたら、一定の所から立ち入る事が出来なかったのよ。」
「…聖凪の邸が入れる所に在って、本当に良かったわ。」と、付け足し宵はため息をついた。
「…一定の所?」
アタシの疑問に、宵は無言で頷き、丁度側にあった都の地図を指差す。
「都の中心から…丁度、聖凪が印を付けている所にかけて。とても広範囲だったから、ほとんど何も調べられなかったの。」
もう一度地図を指差し、「此処に入れない、と言う事が一番大きな収穫よ。」と呟いた。
やはり、あの六芒星が問題…と、なる訳ね。
アタシが急に難しい顔をしたからか、宵が控え目に声を出す。
「…あの、聖凪。力になれなくてごめんなさい。」
力なくうなだれる宵を見ると、気を張って立派であろうとしていても、やはり子供なのだと、気付く事が出来る。
宵の手を取り、優しく答える。
「いいえ、宵のお陰で確信が持てたわ。ワタクシの頼みを聞いてくれて、本当にありがとう。」


