平安異聞録-お姫様も楽じゃない-




標を全て繋げると、不恰好ながらも六芒星が出来た。



アタシたち陰陽師が扱うのは五芒星。六芒星とは、陰陽師が扱う五芒星と対になるモノだ。



嫌、対ではないかもしれない。五芒星が正の術式に対して、六芒星は負の術式になる。



────六芒星が出て来た、と言う事は……



相手は陰陽師。



まさに、予想もしていなかった展開だ。



それに、同じ陰陽師でありながら、陰陽の術で都の人たちに危害を加えるなんて、許せない!!



急に押し黙ったアタシを見て、女房たちは、静かに疑問そうな顔を向けてくる。



「…みんな本当にありがとう。お陰でとても役に立ったわ。」



「此方こそ、姫様のお役に立てて、嬉しゅうございます。」



それから暫く、女房たちと雑談して「横になるから、下がっていい」と伝え一人になった。



……適任なのは、



「…六合。」



暗闇の中に、一つの影が現れる。



「お呼びですか、姫。」



そう言うと、六合は下げていた頭を上げ、優しく微笑んだ。



きっと、ふざけた青龍やわんぱく者の白虎、老齢の勾陣、ピリピリしている騰蛇、何を考えているか解らない天空では出来ないはずだ。



別に太陰でも大丈夫だったのだが、いつも太陰だけを遣うのは気が引ける。



「六合、貴方達式神は人を形どる事も出来るのよね?」



「はい、人になる事は雑作もありあません。」



またもや、にこやかに答える六合の笑みは、もう、癖の様な物なのだろう。



まぁ、実際に世話上手で優しく、和やかな雰囲気を醸し出しているのだが…。



六合は男なのに、天后や太裳より子育てが上手そうだ。



少しずれてしまった、思考回路を正常に戻し、話を進める。