そうねぇ…
「誰か、先頃三の宮様が降嫁された、右大将様のお邸が何処にあるか分かる者はいますか?」
多分、姫であるアタシよりも、普段から他家の女房と連絡を取り合っている、女房たちの方が情報通だろう。
「右大将様ですか?でしたら、五条と東京極大路の辺りにお住まいだった、と思いますが。」
「右大弁様なら、姫様もお分かりでしょう?二条と、こちらも東京極大路の辺りです。」
「典薬博士でしたら、私の妹の夫ですわ。確か七条で、丁度朱雀大路に面しております。」
「斎宮少充殿なら、私の従姉妹姫の隣にお住まいだと、聞いた事があります。従姉妹は五条と、木辻大路辺りに暮らしております。」
「近衛将曹と言うお方は、知りませんが、中納言の御子息で、近頃怪我をしたというのは、二条と佐比大路辺りかと。知り合いの女房が、話しておりました。」
女房たちが教えてくれた辺りに、筆で全て標を付けていったが、これと言って共通点があるわけではない。
不幸があった邸は、まとまりが無く、点々としている。
やはりこれは、今回の出来事とは全く関係が無かったのかしら?
安直すぎたわね。
筆を置き、肩をコキコキと鳴らして凝りをほぐし、落ちてきた髪をかき上げる。
もう一度、ため息をつきそうになった時、控えめに若い女房が声を発した。
「あの、私の姉が宮中に勤めているのですが、姉と親しい女房が、お産で大層大変だったとか…産後の経過も、あまりよろしく無いようです。」
「そのお産はいつ頃の事?」
興味深い話を聞き、思わず顔が険しくなる。
「姫様が一条のお邸にお出掛けになる前の夜の事です。」
一度置いた筆を取り、宮中の内裏辺りに標を追加する。
そうして、改めて地図を見ると、先程はなんの形も見出だせなかった地図に、あるものが浮かんできた。
「……六芒星…。」


