「言っておきますけど、アタシは内裏の女房になる気などは更々持ち合わせていません。」



ぽつりと呟いた一言に柊杞のムキになった声が響いた。



「姫様にどこぞ姫のお世話をしてもらいたいなど、この柊杞少しも思ったことなどございません!!叶うことなら当代の帝のお妃にと女房一同思っております!!」



いっきに言って退けた柊杞に驚いた。いや、女房たちがお上の妃にと考えていたことにも驚いたけれど、それよりもこんなにムキになる柊杞に驚いた。



でも帝の妃って…



あんまりじゃない?



たしかにアタシの家は、お祖父様のおかげでどちらかと言えば上流層の貴族。



だけども帝の妃になるような貴族たちに比べるとそうはいかない。



それにアタシは…



「入内する気はないわよ…?」



「姫様がそんなに弱気でどうしますかっ!!姫様はひいき目でなくとも素晴らしいご器量をおもちです。もっと自信をおもちになってくださいませ。」



や、そんな自信も何もはなっから妃になるつもりなんて、これっぽっちもないのだから。



「あのね柊杞、アタシは妃なんてな…」



アタシの口を遮ったのはもちろん柊杞。



「これは大殿様の願いでもあるのですよ!!」



「…。」



お祖父様…。



いくつになっても夢が大きすぎるんだから。



そんなやりとりをしているうちに自室に着き、柊杞の話から逃げることが出来たので今日は習い事に感謝をしなければ。