「それにしても姫、近頃は以前にも増して呪詛の類いが増えたのでは?」
六合が渋い顔で外へと目を向ける。
それに習うようにして、私も外を見るが苦笑しか出てこない。
外、正しくは桐壺に張った結界の外。
――――――禍々しい気が其処かしらに漂っている。
以前からも、これは見られたのだが、姫宮を生んで、いや姫宮を連れての参内以降急激に数が増した。これだけ毎日見ていれば笑いが出て来てもしょうがないだろう。
自分で言うのもなんだが、長らく離れていたにも関わらず、貴雄様の桐壺の女御への寵愛かわ変わらない事をやきもきとしている、貴族たちの差し金だろう。
本当に自分で言うのもなんなんだが。
それに、以前まで陰陽寮の長は父であったが、その父はもう陰陽寮への直接的力は持っていない。
陰陽寮の安倍一族に気兼ねする必要はない。
こんな事を言えば、只今陰陽寮で修行中の二人は酷く怒るだろうが。
「まあ、あの程度ならば私が手を出さずとも、既存の結界で事を得るわね。」
其れがなくとも、十二天将がいる。
女房たちに、姫宮を庭に出さぬよう伝えておけばなんの心配もいらない。
大丈夫なのだが、やはり平穏で何の心配もいらない日常が一番だ。


