「あの暗殺者の小娘にでも、真子を鍛えさせようとでも?」
玄武がじとりと此方を冷たく見やる。
「そうではないわ。真子は自分の身を守れないのよ?一人で行動させる方が危険よ、忍に着いていてもらおうと思っただけよ。そんな怖い顔しないで」
玄武に弁解すると、その場に居た十二天将は困った顔をする。
「甘いわね。あの娘は貴女の付人でも何でもないのよ。助けるとは思えないわ」
「大丈夫よ、忍には一つ貸しがあるもの」
「だからそれが甘いのよ」
「大丈夫。そんなに心配ならば着いていけばいいわ。本当に大丈夫だもの」
私が断言しても、十二天将の表情は変わらない。
本当に大丈夫なのだ。
忍は可愛らしい姫を好いている。
それは忍が少し危ない、などではなく、兄の・・・・・・何より自分のために、私よりも好きになれそうな姫を探しているのだ。
その対象が真子に向くのは複雑な気分だが、忍から好意を寄せられるのは悪くはない。
むしろそれが最善だ。
多少面倒ではあるが、あの者の標的はそうそう私からは移らないだろうからしばらくは大丈夫だろう。
まだ冷めた目のまま私を見ている玄武に手を払う。
「さあ、心配ならば行ってらっしやいな。真子はもう出て行ったわよ」
それだけ言い残しその場を去ると、玄武の気配だけが消えたようだった。


