近頃、姫宮は十二天将を見つけては、嬉しそうに「きゃっきゃ」と笑うようになった。
居なくなる事はないのだが、女房がすぐ側に居なくても泣かないので、女房たちは「手が掛からない子」だと助かっているようだ。
その代わりに、人には見えない十二天将が必ず側に誰か控えている。
貴人や朱雀、六合、太陰、勾陣なら頷けるが、その他の天将も頻繁に姿を見せているのには多少驚いたが嬉しく思う。
「しかし、神通力はあれど霊力が感じられないと言うのも不思議ですね」
「陰陽の術を扱えない可能性は十分にありえるかと」
少し離れた所で寝ている姫宮を見つめ、太陰、六合の二人は思案を巡らす。
「神通力を持っているからこそ、退魔、守護の術を学んで欲しかったのだけれど…」
「本当に。我々も尽力しますが、本人が自分の身を守れるか守れぬかで、大きく違いますから」
六合の言は最もだ。
「ゆくゆくは二条の邸に移るでしょうし、その時は真子に姫宮付きになってもらうしかないわね」
その方が安芸の方も喜ばれるだろうし、私も安心出来る。
まぁ、全ては真子の返答と姫宮の能力次第なのだが。
「何はともあれ、平穏が一番よ」
ふう、と息をつく私に、二人が「そうですね」と微笑む。
それに深く頷いて、外に目をやる。
「それにしても…」
私が言わんとした事を察してか、二人の顔が真剣になる。
「不自然なくらい何も感じないわね」


