平安異聞録-お姫様も楽じゃない-





それだけ言うと、柊杞はぎろりと此方に視線を投げる。



「女御様も早くお休みになってくださいましっ」



柊杞はそう言うと、私がきちんと横になるのを見届けて下がって行った。



下がるとは言っても、几帳の後ろに控えているのだろう。微かに気配がある。



私が完全に寝入るまで、梃子でも動かない気だろう。



私が口角を上げたのを見止めて、天将達が下がって行く。



明日でも良いだろう。



刻はそう多くはないが、少なくもないのだ。



肩の力を抜き、眠りへと落ちていく。



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───────…



────……………



──………‥‥


─……‥‥



「姫、姫」



肩を揺さ振られ、意識がはっきりしない目を開ける。



浅い眠りに終わりん告げたのは固い顔をした朱雀だった。



「先程、真子が北の対に向かわれました」



「太裳は?」



「はい、ちゃんと責務を果たしているかと」



「まさか、あの子が先走るなんてね…。太裳がいるならお二方は大丈夫だと思うけれど…」



そう心配する私に、朱雀は胸の前で手を合わせる。



「はい……。真子は人外のものに強い嫌悪を抱いていますから……」



まぁ、ここまで来たら傍観するほかないだろう。



御帳台を出ようとしない私に、朱雀が首を傾げる。



「北の対には行かれないのですか?」