平安異聞録-お姫様も楽じゃない-




「その……私が、何をしたか……など…………」



しどろもどろに答える真子に更に問い詰める。



「ならば、何かしてはいけない事でもしているの?」



その問いには声を上げようとするが、はっきりとした答えが出てこないようで、数回口を開閉した後に、激しく首を横に振った。



言う気がないならばいいだろう。



「なら…貴女は、何に何をしようとしているの?外側だけを見ているのなら、何事にも最善の策はないわよ」



微笑む私に天将達が目を見開く。



「深入りしすぎだ」といった風な、十二天将の痛い視線をひしひしと受けつつ、正面に座す真子を見る。



ぎくりと肩を強ばせる真子にいたって自然に微笑みかける私を、十二天将が「実は真子を使って遊んでいるのでは?」など考えていてもおかしくないだろう。



「女御様は……」



「何をしているの?」



真子が言い切らないうちに、厳しい声が届く。



「女御様はお休みしておられたのですよ、それをお邪魔するなど。早くお戻りなさい」



素早く側に寄ってきた柊杞に一喝され、真子は小さくなる。



真子が先程言おうとしていた事は、みなまで聞かずとも容易に想像できる。



『女御様は全て解っておいでなのですか?』



複雑な表情で此方を見る真子に、とぼけた様な笑みを作る。



「……申し訳ございませんでした。失礼いたします」


それだけ言い、頭を下げると真子は足早に母屋を出ていった。



「手厳しいわね?」



ふふっと笑うと、柊杞は嘆息した。



「内裏の者に嗤われては可哀想ですから。それに女御様も、それを望んではいないでしょうから」