突然現れた真子に、青龍と玄武が物騒な視線を向ける。
殺気立った母屋に、物騒な視線。
こんなに交戦的で苛立った十二天将を見たのは初めての真子は、蛇に睨まれた蛙のようにその場から動けずにいた。
最初から見ていたなら、下らない、と呆れれるだろうが、この場面だけ見たならば相当だろう。
「青龍、玄武、いい加減にしなさい。他人の平穏を乱すのなら復っていいわ。……太裳もよ。本当に私が間違っていたのかしらね」
青龍、玄武、太裳を一睨みしてから、恐怖で固まったままの真子へと声をかける。
「どうしたの?此方にいらっしゃい、天将達が悪い事をしたわね、ごめんなさい」
目を伏せる私に、真子はぎこちなく首を横に振るがその場から動こうとはしない。
私の言葉と一緒に頭を下げた貴人が、見兼ねて真子を御帳台の前まで誘ってくる。
「どうしたの?」
青い顔で腰を下ろした真子にもう一度問い掛ける。
天将から、解っているくせに、と言う視線が突き刺さってくるが、今は気にしない。
「あ、あの、太裳が…」
それきり言い淀む真子は、険しい顔で俯いてしまった。
「太裳から何か言われたの?」
その問いには、激しく首を横に振り、真子は上目遣いに私を見た。
「太裳から何かお聞きになりませんでしたか?」
私の目が変わったのを天将達だけが気付いた。
「何か……と言うと?」
そう聞き返すと、真子は言葉に詰まってしまう。
真子がここで全て打ち明けてしまうのなら、それはそれでよいのだ。
もし間違った対処をしてしまってもよい。
勿論最善策を見付ける事が一番良いのだが、今回は一歩前に進めればよいのだ。
何となく、その様な気がしてきた。
本当に私は、自分の意見が簡単に揺れてしまっている。


