「本当だわ」
急に現れた太裳に皆が一斉に振り返る。
「卓巳のところに行ってしまったわよ」
抑揚の全く無い調子で、ただ淡々と話す太裳に、一同は返す言葉を発せれずにいる。
数秒の沈黙の後、ようやく普段は柔和な面持ちのはずの六合が口を開く。
「何故貴女は、真子の元にいないのですっ!!」
六合のその取り乱した声に、一同がようやく我に帰ると、皆が一斉に駆けようとする。
それを寸でで太裳が止める。
「あら?意外にも聖凪は冷静みたいじゃない?」
不敵な笑みを浮かべる太裳にため息をつく。
「ずっと側にいた貴女がいなくなったのよ?……私に漏らされるかもしれない、と考えるのが妥当じゃない」
「……あの子も直ぐに来るでしょうね」
ふぅ、と肩を落とすと、太裳はまたも淡々と続ける。
「なかなかおつむの弱い聖凪でさえ気付いたのに……十二天将が揃いも揃って情けない」
それまでただ、淡々と話していた太裳が、最後だけ口元を歪ませた。
小馬鹿にしたように、鼻で笑う太裳に、沈黙が訪れる。
あぁ、何かが壊れる音が聞こえる。
「……ちっ」
沈黙を破ったのは此れみよがしに放たれた、誰かの舌打ち。
「…復る」
顕らかに殺意を持った目で太裳を一睨みすると、騰蛇は姿を消した。
それに続き天空までもが、無言で姿を消す。


