平安異聞録-お姫様も楽じゃない-




女房達の言っている事に偽りは無い。



無いのだが、父上の結界は妖全てを寄せ付けない訳ではないのだ。



悪意の無い異形の者は簡単に入れてしまう。



この西の対は別で、厳重に結界が張ってあるのだが。



今の女房の話を聞いて、もしかすると真子は少々混乱してしまったかもしれない。



なんとなくそわそわしてしまう。



太裳はちゃんと責任を果たしているでしょうねぇ?



素知らぬ顔で真子の側を浮遊している太裳を見るも、反応は無い。



悶々としている私を見て、朱雀はまた苦笑するのだった。



「卓巳君を呼んで」



ついで、出た言葉に天将たちはため息と共に肩を落とすのだった。



そして、そこにだけ反応する太裳にたじたじな二人だった。



「甘いわね」



脈絡のない、太裳のぽつりとした呟きに真子は首を傾げているが、私の発言により幾分か顔が険しくなっている。



ややこしくしてしまった分だけ、手を貸そう。



等々言い訳をするが、十二天将たちに言わせれば「手を貸しすぎだ」と呆れられるだろう。



確かに、本当の意味で陰陽師になろう、と決意したのに我ながら甘いとは思う。



だが、いいではないか!!



真子は陰陽道を学び初めて日が浅いのだから。



表情が変わる私の頭の中が予想出来たのか、太陰は苦笑する。



「それでも、皆は甘いと言うだろう」