平安異聞録-お姫様も楽じゃない-




「兎に角、真子には極力近付かないでちょうだい」



まだ意見を出し合っている二人に、釘を刺して今度こそ横になる。



瞼を閉じ一息ついたところで、最後、と言って青龍が口を開く。



「聖凪だったらどう対象する?」



片目だけ開け、にやにやしている青龍を見やる。



「そうね、まず声を訊いてからでしょうね」



それだけ聞き、私がそれ以上答える気が無いと察したのか、青龍と玄武の気配が遠退いて行った。



よくよく考えれば、ただ単に人に仇なす妖を調伏するよりも良かったかもしれない。



真子にとっては、越えなければならない壁だ。



そして何より上手くいけば、あの子が嬉しいはずだ。



同様にあのお二方も。



そろそろ本当に眠らなければ、と思い始めた頃、一つの事実を思い出す。



「そう言えば、兄君の処は良かったのかしら?」



そう親しくは無かったが、私よりも五つばかり歳崇の兄君がいたはずだ。



たしか、今は後を継がれて四条のお邸にいらっしゃったはず。



そちらは、もうよい、と言う事だろうか。それならば、お二方の人となりを思い出し苦笑する。



もう、三人の太郎君と一人の姫君を持つ人だから、確かに心配はないだろうが。



やはり、申し訳ない気持ちが合ったのだろう。



大層、寂しい思いをしただろうから……



今なら今まで以上に、その気持ちが分かるようになった。



だから、一刻も早く手を出したいのだが────



我慢せねばなるまい。