「貴女様は全て忘れて良いのですっ…その代わり、四の君様の負の念は全てワタクシが受け止めます。」
そう言い終え、懐から形代を引き抜き、正面に掲げる。
─我が式を寄り代に、傷みは我が身に、循り循りて浄化せん─
形代に息を吹き掛け、宙に放す。
─負念引握、掌握拘禁、輪廻昇天─
両手を胸の前で合わせ、自分の霊力を解き放つ。
「印っ!!」
「ぐぁぁぁぁーっ」
形容のし難い悲鳴が、四の君から上がる。
金色のまばゆい光が四の君を照らし、四の君の身体から闇より深い影が飛び出して行く。
─────っ
ようやく光が落ち着いて来ると、事切れた様に四の君の身体が傾げた。
硬い床に身体が思い切りぶつかると思った時には、六合が四の君を抱き抱えていた。
「…六合」
「大丈夫です、気を失っているだけかと…」
四の君の様子を見た六合にほっと息をつき、その場に座り込む。
座り込んだのも束の間、いくつもの足跡が此方に向かっている。
「っ兄上、結界を!!」
しかし兄上は、アタシが言うよりも早く、人よけの呪いをかけていた。
もう一度、深く息を吐き出す。
「良かった…」
呟くアタシに兄上は頷く。
「後は、四の君とこの阿呆の記憶を替えて仕舞いだな」


