「また、明日ね。」
その言葉を待っていた。
でも、違った。
言葉の代わりに、
君は僕に、
今度は優しいキスをくれた。
柔らかい唇を、唇で感じる優しいキスを。
「じゃあね。サヨナラ。」
君はそう言った。
大きな瞳に、
溢れ出しそうな涙を溜めて。
両手で僕の手を握り、
君は自分のおでこに僕の手を当てて、
小さな声で、泣いていた。
校門の前で。
夕焼けを背中に受ける僕と、
泣いている君と。
部活帰りの生徒が、冷やかしながら通り過ぎていく。
でも、何も僕には聞こえない。
君の言葉が、
君の涙が、
君がいるこの場所が、
今の僕の世界だった。
君が居ない
そんな僕の世界なんて、
消えてしまえば良いと
思った。



