二人の秘密。〜短編・学園LOVEstory①〜




「また、明日ね。」



その言葉を待っていた。

でも、違った。



言葉の代わりに、
君は僕に、

今度は優しいキスをくれた。



柔らかい唇を、唇で感じる優しいキスを。





「じゃあね。サヨナラ。」



君はそう言った。



大きな瞳に、
溢れ出しそうな涙を溜めて。



両手で僕の手を握り、
君は自分のおでこに僕の手を当てて、
小さな声で、泣いていた。



校門の前で。


夕焼けを背中に受ける僕と、
泣いている君と。



部活帰りの生徒が、冷やかしながら通り過ぎていく。


でも、何も僕には聞こえない。



君の言葉が、
君の涙が、
君がいるこの場所が、



今の僕の世界だった。



君が居ない
そんな僕の世界なんて、
消えてしまえば良いと
思った。