二人の秘密。〜短編・学園LOVEstory①〜




「さあ、私の席から立って。」


君の手が、僕の目の前に差し出された。



あの放課後に握った手だ。


二人の体温を感じた綺麗な手だ。



僕はその手を握りかえす。


懐かしい感触。


優しい感触。


君の席から立ち上がって、
君を抱きしめた。


今度は

正々堂々、正面から。



君の腕が、僕の背中を抱きしめてくれるのを
僕は確かめるようにギュッと
君を抱きしめる。



左手で君の髪を撫でる。
撫でながら、君の小さな頭を
僕の胸にそっと寄せる。


少し上を向いた君は、
僕の耳に向かってささやいた。


「君はエッチなんだね・・・。」



瞬間、こんな大胆に振る舞えている
僕の羞恥心に一気に火が灯る。


大丈夫だ。
安心しろ。


今日の僕は、自分でもびっくりするくらい
饒舌なんだ。


だから、照れちゃダメだ。


言ってやるんだ。

5日もモヤモヤしていた気持ちを、
この綺麗な匂いのする、
とても華奢な美しい人に・・・。



「僕はエッチなんだ。
君の前では取り繕いようがないほどね・・・。」


君の小さな耳に向かって、言ってやった。


どうだ。

軽蔑でも、
気持ち悪いとでも、
思ってくれて構わないぞ。


これくらい言わなきゃ、
5日間の張り裂けそうだった僕の気持ちが、

収まる訳がないだろう。