二人の秘密。〜短編・学園LOVEstory①〜




「良かった・・・。
まだ教室に居たんだね。」


君の声だ・・・。


嘘だろう?


出来すぎだよ。こんな展開。


君が近付いてくる。


毎日聞いていた足音が、
聞き慣れた足音が、

近付いてくる。



「君は私の机で何をしているのかな?」


あ、この声。

5日振りに聞く、君の声。



「誰かさんが、何も言わずに僕の前から姿を消した。」


なんだ、僕は何を言っているんだ。


「誰かさんが座っていたその席に、
僕はその人の存在を感じる為に、
こうして顔を埋めているんだ。」



いつも以上に、饒舌じゃないか。


どうしたと言うんだ、僕は。


君は笑いながら言った。


「うふふ。変なの・・・。」



嬉しいんだ。

僕はとても嬉しいんだ。

君の机と

君の椅子と


夕暮れの放課後の教室に
君がいるこの瞬間が、


堪らなく
嬉しいんだ。