「良かった・・・。
まだ教室に居たんだね。」
君の声だ・・・。
嘘だろう?
出来すぎだよ。こんな展開。
君が近付いてくる。
毎日聞いていた足音が、
聞き慣れた足音が、
近付いてくる。
「君は私の机で何をしているのかな?」
あ、この声。
5日振りに聞く、君の声。
「誰かさんが、何も言わずに僕の前から姿を消した。」
なんだ、僕は何を言っているんだ。
「誰かさんが座っていたその席に、
僕はその人の存在を感じる為に、
こうして顔を埋めているんだ。」
いつも以上に、饒舌じゃないか。
どうしたと言うんだ、僕は。
君は笑いながら言った。
「うふふ。変なの・・・。」
嬉しいんだ。
僕はとても嬉しいんだ。
君の机と
君の椅子と
夕暮れの放課後の教室に
君がいるこの瞬間が、
堪らなく
嬉しいんだ。



