雪の朝、君が眠りにつく前に



〈付けてみて〉


あたしはうなずいて、ネックレスの留め金を外す。

鎖骨に触れる石の、ひんやりした、かすかな重み。

首の後ろに手を回して、留め金を掛ける。

髪を払うと、真新しい鎖の感触が少しくすぐったい。


〈麗、後ろ向いて

 髪を持ち上げてみせて〉


「こう?」


うなずくような空気があって。

首筋が、朝綺の視線のせいで熱せられる気がして。


「もういい?」


振り返ったら、モニタに文字が表示された。


〈色っぽい〉


「バカ」


〈せっかくだからヌードにそのネックレスだけ〉


「お、怒るわよっ」


〈麗に怒られるの好きだ

 筋肉おとろえても妄想はおとろえないの

 おれ男だし

 たまるもんはたまる〉


「ほんと、バカ」