「あ、雪……」
高層階の病室から、空を仰いでみる。
一面のグレーの雲を背景に、無数の小さな白がちらちらしている。
中庭を見下ろした。
ガラスドームの内側で、小児病棟の子どもたちが両手を空に向けて喜んでいる。
そして、気付いた。
出窓に置かれたプレゼントに。
ピンクゴールドの、手のひらサイズの箱。
オーロラカラーのリボンが掛かってる。
タグにMerry Christmasと印字されている。
あたしは朝綺を振り返った。
モニタに、たった今見たのと同じ言葉が表示されていた。
〈Merry Christmas〉
「これ、あたしに……?」
〈ほかに誰がいるんだよ、お姫さま〉
「……ありがと」



