雪の朝、君が眠りにつく前に



来年のクリスマスのころ、朝綺はきっとこの病室にいない。

あたしは孤独に耐えられるだろうか。


耐えなきゃいけない。

選んだんだ。

あたしは、朝綺に恋して生きることを選んだんだ。


「あたしも、プレゼント用意してきたの。

朝綺が好きなバンドの、限定版のデビューアルバムよ。

あれだけは持ってないって言ってたでしょ?」


朝綺が、うなずく代わりのまばたきをして。

そのまなざしに、まぶしげな笑みが浮かぶ。


生きていて。

生き続けていて。

そう願うのに、時間は流れる。

タイムリミットが、鼓動ひとつ呼吸ひとつ、そのたびに近付いてくる。


――ねえ、お姫さま。


朝綺のまなざしの中に、声が聞こえた。

何、と首をかしげる。


――笑って。